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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁

青空文庫

と云って他の閣僚の諒解を求めている。――なる程云われて見れば尤もで、この事件に限って珍しく外務省の係りであるらしい。それを他の閣僚までが軍部の仕事と思い違いしていたとすれば、対外折衝は軍部のやることだというような考えが閣僚自身の習慣になった程に、外務省側の独立行動は珍しかったからに過ぎぬだろう。

併し之を軍部の仕事と思ったのは日本の迂濶な閣僚達だけではない。肝心な唐次長が、軍部の意向を聴取するために、南京へ帰京する予定を延ばして、在上海の日本武官を訪問して歩いた。特に磯谷少将は蒋介石氏直参と称される張、陳、両氏との三時間に渡る会見に於て、支那の不心得を懇々と説いたと新聞は報道している。無論こう云っただけでは軍部がこの交渉に干与していたとも云えるし、いなかったとも云えるわけだが、折衝の名義人は外務省でも、外務省の独立な折衝だと云えないことは明らかだ。軍部の監視の下に外務省が衝に当ったと云った方が正直な云い方なのである。

無論、事件については中国側に苦情のありようはない。中国側は、党部の名に於て、日本側の要求全部を容認することとなったのだが、之に対して例の磯谷少将は語っている。