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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁

青空文庫

的な要求の一つに、赤化防止の項目があったらしいと一二報道されたということは、現代の国際的な社会常識から云って何と云っても妙ではないかと思われたのである。河北の農民大衆が、それまでに、いつの間に防共思想へ善導されたかは殆んど吾々の理解を超越したことだ。

私は今ここに赤化や又防共の是非を論じようとは思わぬ。だが一体この防共とは何を意味するのか。華北防共自治委員会なるものが出来たそうであるが、之は北支五省の連絡機関であるらしい。それの一部である文化特別委員会なるものは、略々次の五つの目的を持つと見られている。第一は、三民主義の排撃、第二は排日思想の撲滅、第三は共産主義の撲滅、第四は外来思想の打倒と東洋思想の鼓吹、第五は日満支三国の文化的融和。こうしたものが所謂防共政策なのである。之によるとこの防共政策は、赤化防止に名を借りて、親日的反国民政府的文化政策以外の、何ものでもなかったということが少なくとも判るのだ。

之は北支農民暴動の後から出て来た結論に他ならないので、初めから農民がこうした防共の必要(?)によって蜂起したのではないかも知れないが、併し伝えられる処によると、こうした防共の原則に立つ北支自治政権の樹立は、北支三千万民衆の絶対的要望を実現するものだというのだから、農民に初めからこうした動向が無かったと云い