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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁

青空文庫

た。この態度に対して政府――ブルジョアジーの監視の眼は、相当にらみが利いていると見ることが出来る(例えばかつての高橋声明)が、官僚の方は之に対してどういう関係を保って行くのか、極めて不明確なのである。それも尤もで、内閣の庇護化にある官僚は、内閣から独立している軍の権能のようなものは元来有たないのだから、身分保証とか何とか云っても夫はほんの気休めで、結局はより直接にブルジョアジーとの連関に束縛されざるを得ないように出来ているからなのである。

軍部は資本側の修理伸長擁護(?)のために、敢えてブルジョアジー自身とその方針を争うことさえ出来る。或る限度まで(縦え「素人」であるにしても)軍部は資本的支配者をリードする実力を有っている。資本家政治家が健全財政とか内政重視とかいう退嬰政策を取れば、軍部は積極財政とか大陸政策とか南方政策とかいう積極方針に出ようとする。――処が官僚新官僚はもはやそれだけの実力はない。でその限り官僚は全く軍部に追随することによってしか、そのイデオロギーと社会活動との権利を享け取ることが出来ぬ。官僚が資本家や資本家関係の諸問題(争議・組合其の他)に容喙し得るのは、全く軍部という虎の威を借りてのことで、そこにおのずから、シッポをつかまれる弱点も残しているのだ。