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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 179,458 字 · 363 頁
彼はこのほかにも『神仙感遇伝』『集仙録』などの著作があります。これから紹介いたしますのは、『録異記』八巻の一部と御承知ください」
異蛇
剣利門に蛇がいる。長さは三尺で、その大きいのは甕のごとく、小さいのも柱の如く、かしらは兎、からだは蛇で、うなじの下が白い。かれが人を害せんとする時は、山の上からくるくると廻転しながら落ちて来て、往来の人を噛むのである。そうして、人の腋の下を啖い破ってその穴から生血を吸う。この蛇の名を板鼻といい、常に穴のなかにひそんで、その鼻を微かにあらわしている。鳴く声は牛の吼えるようで数里の遠きにきこえ、大地も為に震動する。住民が冬期に田を焼く時、あるいは誤まって彼を焼き殺すことがあるが、他の蛇に比して脂が多いのみである。
乾符年中のことである。神仙駅に巨きい蛇が出た。黒色で、身のたけは三十余丈、それにしたがう小蛇の太さは椽のごとく、柱のごとく、あるいは十石入り又は五石入りの甕のごときもの、およそ幾百匹、東から西へむかって隊を組んで行く。朝の辰どき(午前七時―九時)に初めてその前列を見て、夕の酉どき(午後五時―七時)にいたる頃、その全部がようやく行き尽くしたのであって、その長さ実に幾里であるか判らない。