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かめんのきょうふおう

仮面の恐怖王/電人M

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《仮面の恐怖王/電人M(かめんのきょうふおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 153,590 字 · 308 頁

青空文庫

博士は、ベッドからとびおりようとしましたが、どういうわけか、からだが、すこしも動きません。助けをもとめようとしても、声も出ません。

そのうちに、電人Mの恐ろしい顔が、グーッと、博士の顔に近づいて、あのプラスチックの冷たい顔が、ピッタリと、博士の額にくっついたのです。怪物の目のまっ赤な二つの光が、いなずまのように、博士の目の中にとびこんできました。

博士は「ワーッ。」と言ってもがき回りました。……そして、目がさめたのです。夢でした。からだじゅう、汗びっしょりです。

「ああ、夢だったのか。」と、あたりを見まわしました。ベッドの枕もとの、青いシェードの卓上電灯が、ぼんやりと寝室の中を照らしています。その光が弱いので、部屋のすみずみは、まっくらです。

博士はギョッとして、その暗いすみを、みつめました。だれかがいるような気がしたからです。

ベッドをとびだして、かべのスイッチを押しますと、パッと、天井の電灯がついて、部屋が明るくなりました。なにもいません。真夜中の寝室は、シーンと静まりかえっています。

しかし、どうもへんです。音もしないし、姿も見えないけれど、なにかが、部屋の中にいるように思われます。