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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

よき所に行燈をとぼしてあり。庭の上のかたに筵を敷き、お妙は砧の盤にむかいて白布を打っている。薄月のひかり。砧の音。下のかたより猟師五平と寅蔵、いずれも火縄銃を持ちて出づ。

五平 弥三郎どんは内かな。

お妙 (みかえる。)おお、皆さん。兄さんはさっきもう出ました。

五平 ゆう飯を食ってから少し饒舌っていたので遅くなったが、兄さんは今夜どっちの方角へ行かれたろうな。

お妙 今夜は夜通しで、村中を見廻ると云っていましたが……。

寅蔵 源五郎は見えなかったかな。

お妙 (すこし躊躇して。)いいえ。

五平 今夜は弥三郎どんと相談して、手分けをして出ようかと思ったのだが、こうなったら思い思いに行くとしよう。

寅蔵 むむ。手柄は仕勝ちで、狼を見つけたが最後、ただ一発で仕留めるのだ。

五平 そう巧く行けばいいが、なにしろ相手が姿をみせないので困る。(懐より笛を出す。)誰でも狼を見つけた者は、この呼子を吹いて合図をすることになっているのだから、笛の音を聞いたら駈け集まるのだ。

寅蔵 では、その積りで出かけよう。

(二人は行きかかる。)

お妙 あ、もし、おまえさん達は、そこらで家の姉さんに逢いませんでしたか。