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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
今のところでは巻いて蔵っておくのが一番よい保存法であるが、それは絵が見らるべきものであるということと正面から衝突する。そこで年に一二回陳列するほかに、巻いたりひろげたりするたびごとに痛むのを承知の上で、特に見る必要のある人々にひろげて見せるのである。このやり方は一日も早く是正されなくてはならない。
館丁は長短三幅の掛け物を重そうにかかえて現われた。重心をうまくそろえてつかんでいないので、短い幅などはズリ落ちそうになっている。そのためもあって床に置くときにドサリと乱暴な音を立てる。それから紐をほどいて壁に掛ける段になると、大きくて自由にならないもので、知らず知らず取り扱いが手荒らになる。見ていてハラハラせずにはいられない。幾分腹も立って来る。どうもこれは毀損しやすい名画の取り扱い方ではない、大事にしようとする気が足りなさ過ぎるなどと思う。
こういうふうにしてまずわれわれは法華寺弥陀三尊に対したのである。
中尊阿弥陀は画面一杯の坐像である。微妙な色調を持った暗色の地の上に、おぼろに残った黄色の肌や余韻の多い暗紅の衣が浮き出ている。下には紅蓮の台があって、ゆったりと仏の体をうけ、上からは暗緑の頭髪が軽やかに全体を押える。