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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
線上閱讀海野 十三《四次元漂流(よじげんひょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 頁
「ああ、おいしい……」
道夫は、思わずそういった。
「あと五分間もすれば、すっかり元気になるよ。その間に、僕は君のため、何か食べるものを作ってこよう」
そういって紳士は、道夫を長椅子へそっとねかすと、部屋をでていった。
道夫が元気をとりもどすまでには五分間もかからなかった。彼は間もなく起上った。身体のだるさが消え、頭痛もかるくなった。なんというすばらしい飲料だったことか。もう一ぱい呑ませてくれるといいんだがと、道夫は舌をだして唇のまわりをなめた。
そのとき、ぽっぽっと、鳩時計が時をうちはじめた。八時であった。八時! すると午前八時か、今は。……いつの間にか一夜は明け放れてしまったと見える。家では心配しているだろう。いったいどうしてこんなところへきたのか。そうだ多摩川の堤の下に、例の老人の浮浪者を見つけて追いかけていくうちに、あっと思う間もなくおとし穴へ落ちて……それから先の記憶がない。
はて、いったいこの家はどこの家だろうか。そしてさっきでてきて、おいしい飲料を呑ませてくれた紳士は、いったい何者であろうか。道夫は、そこであらためて部屋の中をものめずらしげにぐるぐる見まわした。