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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
線上閱讀海野 十三《四次元漂流(よじげんひょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 頁
それは空虚になった暗の中であった。部屋のまん中の、机の面よりやや高い空間に、ぼんやりした光があらわれた。
それは一秒一秒と弱いながら明るさを増していった。そして光の面積が次第にひろがっていった。四十五秒たつと、その光りものは、一つの物の形となった。正面を向いて、身体をかたくして、じっと立っている洋装の若い女性の姿になっていたのだ。
木見雪子の幽霊だ!
まぎれもなく彼女の幻影である。ふしぎだ、ふしぎだ。生きているように見えながら、しかもはっきりしないその姿。これを誰しも幽霊といわないで何を幽霊と呼ぶべきであろうか。何故に雪子学士の幽霊がこの部屋にあらわれたのか、そのわけは分らないが、もしもこの部屋に誰かがいて、雪子学士の幽霊を落ちついて見たとしたら、その人はきっと一つの興味あることを彼女の姿の上に発見したであろう。それは雪子学士の着ているワンピースの服が、あっちもこっちも引裂け、甚だしい箇所ではその裂目から雪子の青白い皮膚があらわに見えることだった。
雪子学士の幽霊は、約二分の後に、つと両手を机の上にのばした。二本の白い手は、しばらく机の上をさぐっているように見えたが、やがてその手は、机上にひろげられた研究ノートをつかみ、そのまま持上げて自分の胸に抱きしめた。