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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《夜明け前(よあけまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 頁
と称えて、毎年千数百駄ずつの檜木を申し受けている村もある。あるいはまた、そういう木材で受け取らない村々では、慶長年度の昔から谷中一般人民に許された白木六千駄のかわりに、それを「御切替え」と称えて、代金で尾張藩から分配されて来た。これらは皆、歴史的に縁故の深い尾張藩が木曾山保護の精神にもとづく。どうして、山や林なしに生きられる地方ではないのだ。半蔵らの踏んで行ったのも、この大きな森林地帯を貫いている一筋道だ。
寝覚まで行くと、上松の宿の方から荷をつけて来る牛の群れが街道に続いた。
「半蔵さま、どちらへ。」
とその牛方仲間から声をかけるものがある。見ると、馬籠の峠のものだ。この界隈に顔を知られている牛行司利三郎だ。その牛行司は福島から積んで来た荷物の監督をして、美濃の今渡への通し荷を出そうとしているところであった。
その時、寿平次が尋ね顔に佐吉の方をふりかえると、佐吉は笑って、
「峠の牛よなし。」
と無造作に片づけて見せた。
「寿平次さん、君も聞いたでしょう。あれが牛方事件の張本人でさ。」
と言って、半蔵は寿平次と一緒に、その荒い縞の回し合羽を着た牛行司の後ろ姿を見送った。