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ようかいはかせ

妖怪博士/青銅の魔人

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《妖怪博士/青銅の魔人(ようかいはかせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 212,920 字 · 421 頁

青空文庫

蔵の中には電灯がついているし、あらい網戸ですから、そとからよく見えます。はじめのあいだは蔵の中とそとで、何かと話しあっていましたが、やがて、それにもあきて、どちらもだまりこんでしまいました。

「十時五分前だ。」

中村係長が腕時計を見て、ソッと明智にささやきました。こんな厳重な見はりをしているのだから、だいじょうぶとは思うものの、やはり時間が近づくと心配です。蔵の前の一同はかたずをのむようにして、身動きもしないで、網戸の中を見つめています。

手塚さんは相かわらず、大金庫のまわりを歩きまわっています。そして、金庫のうしろに回って、ちょっと姿が見えなくなったと思うと、とつぜん、「ワーッ」というさけび声が一同の耳をつんざきました。すわとばかり立ちあがった人々の目に、網戸を通しておそろしい光景がうつりました。金庫のかげからヨロヨロとあらわれた手塚さん、そのうしろから、のしかかるようにして、せまってくる怪物。

アア、いつのまにはいったのか、そこには、青銅の魔人がいたのです。ギリギリ、ギリギリ、例の無気味な歯車の音。まっ黒な穴になった両眼、三日月型の黒い口、怪物はついに名探偵の前に姿をあらわしたのです。