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ぞくほうしこう
差別の根源を考える
喜田 貞吉
線上閱讀喜田 貞吉《差別の根源を考える(ぞくほうしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 頁
非人の徒であっても腕次第働き次第で、大名にも武士にもなれたのです。しかるに世の中の秩序が定まり、階級意識が盛んになりましては、一旦賤者とみなされたものは、容易に頭が上がりません。のみならず、彼らの人口が増加して、その警察吏としての供給が、社会の需要に対してはなはだしく超過するに及びまして、だんだんと一般世間との間の隔懸がひどくなってきました。しかしそれもそう古いことではありません。幕府が法令を下して、ことに厳重にその差別を取締まったのは、近く安永七年が最初であります。今からわずかに約百六十年前たるにすぎないのであります。しかるにもかかわらず、世間の人々はこの歴史を知らずして、遠い遠い大昔から、この差別があったかの如く盲信し、口を開けばすぐに、「なにしろ千年以上の習慣ですからねえ」などといっているのは、間違いもはなはだしいといわねばなりません。
世の中は新陳代謝と申して、古いものと新しいものとが始終入れ替る。後世のいわゆるエタは、必ずしも千年以前からのエタの子孫ではありません。はるか後の世になって、落伍者の新たに落ち込んだものがはなはだ多いのであります。