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ぞくほうしこう
差別の根源を考える
喜田 貞吉
線上閱讀喜田 貞吉《差別の根源を考える(ぞくほうしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 頁
2 江戸時代のサンジョ
と書いてある如く、一定の住居を有せず、所在に散居する浮浪民の謂いではなかろうかということであった。そこで右の「エタと産所」の終わりにおいて、「なおサンジョについては別の考えも持っているが、それは『産所考』の説明に譲っておく」と書いて、発表の余地を存しておいたのであった。しかるにその後だんだん材料が集まってくるにしたがって、前両説の価値は次第に減じ、第三説の、当時にあっては一番軽くみておった説の方が重みを増してきた。ためにせっかくまとまりかけた、かつその発表を予約しておいた「産所考」は、しばらくこれを子おろし婆々の手に委せて、暗から暗へ葬ってしまわねばならぬこととなった。すなわちここに新たにこの「散所法師考」の一篇を草して、もって前説の誤まりを訂し、かねて識者の高諭を求めんとするのである。
2 江戸時代のサンジョ
今ではサンジョというものはほとんど世間から忘れられている。彼らは江戸時代において、あるいは穢多の類なりと言われ(『淡海木間攫』)、あるいは餌取にも近き者の由に言われ(『以文会筆記』)て、世間から賤しまれていた場合が多かった。しかしながら、彼らの中にはかえって往々立派な由緒を唱え、あるいは公家に因縁を求めて受領などを取得し、むしろ普通民よりは立派なものであるかの如く心得ているものもないではなかった。