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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

源吉は、胃の中のものが、咽喉元にこみ上って、クラクラッと眩暈を感ずると、周囲が、急に黒いもやもやしたものに閉され、後頭部に、いきなり、叩き前倒されたような、激痛を受けた。

汽車は、物凄い軋みと一緒に、尚も四五間滑って、ガリンと止まった。源吉は、まだ眼をつぶって、一生懸命、ブレーキにしがみついていたが、しんと、取残されたような山の中で、汽車が止まって仕舞ったと同時に、入れ換って訪れて来たシインとした静寂は、却って、洞穴のような、底の知れない、虚無の恐ろしさだった。

『ヘッヘッヘッ……』

源吉は、何故か、力のない嗤い声を立てて、自分でグキンとした。

ゾッと冷汗が発生て、シャツがぴったり脊骨にくっついた。

(気が違ったんか――)

激しく頭を振って、源吉は、漸く吾に復った。

見ると、年若い助手の久吉も、矢張り気が顛倒したものか、歪んだ顔に、血走った眼を光らせながら、夢中になって、カマに石炭を抛込んでいる。カマの蓋を開ける度に、パッと焔の映りが、血の塊りのように、久吉の顔に飛ついた。

『バ、莫迦……止まってるんだぞ……』

源吉は、周章て、久吉の肩を撲って、その手を押止めてやった。