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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
田楽狭間
田楽狭間
ちょうど正午の頃である。
山中の静寂にも、禽の声すらしなかった。風もなく、焦りつくような炎日なのだ。灌木の葉は皆、合歓のように萎んでいるか、乾煙草のように、からからになっていた。
「その辺、その辺」
一小隊の雑兵をつれて、山芝の多い原山の上へ駈け上がって来た武者がいった。
「おいッ。幕をよこせ」
「雑木を伐れ」
今川勢の先駆兵と見えた。
担いで来た幕を抛り出す。
一方では、大鎌で草を刈る。長柄を振って邪魔な灌木を薙ぐ。
その側から、兵は、幕を展げて、附近の松の木や合歓の木の幹へ張り繞らし、それのない所には、幕杭を打ち込んで、またたくうちに一囲いの幕屋を作った。
「うう、暑い」
「こんな日もめずらしいて」
一汗拭いて、
「見てくれ、俺の汗を。具足の革も金具も焼けて、火に触るようだ」
「具足を脱って、一風入れたら、どんないい心地かと思うが、もうやがて、御本陣のお移りも間があるまいし」
「まあ、とにかく、一息つくとしよう」
雑兵たちは、坐りこんだ。原山の芝地には木が少ない。大きな楠の日陰へみんなかたまり合った。
日陰に憩うと、さすがに少し涼しい。それにこの田楽狭間と呼ぶ原山は、四囲の山々のいずれより低く、盆地の中の丘といった地勢であったから、時々、前方の低地を隔てた真正面の太子ヶ嶽あたりから、青葉時らしい冷たい風が