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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

むしろ味方の主隊から迷子になって、わずか十七、八名で、さまよっている心細さに囚われていた。急に戦場の空気が静かになったのは、一方で信長の本軍が全滅しているのではあるまいか。何しろいつ敵に包囲されて、自分らも、そこらに転がっている死骸と同じ姿になろうやも知れない、そうも思う懸念のほうが強かった。

すると、田楽狭間の高地で、わあッ、わあッ、わあッ――と、天地もゆるがすような勝鬨が三度ほど聞えた。

勝鬨の声にも、武者押しの声にも、どこかお国風がある。

声をあわせて、

「わあッ」

と、いうだけでも、駿河衆のそれと、織田武士のそれとは、自然気あいの違うものである。

「勝軍だッ。戦はお味方の勝利なるぞ。それ行けッ」

藤吉郎が先に駈けると、

「わあッ」

今まで、人心地もなかった足軽たちも、突然、

――われ生きたり。

――われ勝てり。

と、武者ぶるいする身心地を取り回して、遅れじと、藤吉郎につづいて、勝鬨の聞える丘のほうへのめッて行った。

「おーいッ」

呼び止める声がした。一方の山の中腹の道からである。

藤吉郎は、小手をかざし、

「味方か」

訊ねると、先からも、

「そこへ見えたは、いずれの隊か。