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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

――佐々成政ほどな者が、左様な下手な戦をするか。何としても、明け方までに、攻めつぶしてしまえ。汝らの手で陥ちんとすれば、成政がまいる」

「……はっ。御意、一同にも、申し伝えまする」

野々村主水は、ぜひなげに、立ち上がった。何か、胸のいたむものが、部下たちのうえに、思いやられ、つい、憤然と、色になって、かれの顔をかすめていた。

「では、これが、わが君とも、お別れかと存ぜられます。おさらばにござります」

幕の外へ、出ようとすると、

「待て」

「はっ。……なんぞ」

「主水。ちょっと待て」

何を思ったか、成政は、こう急に呼び返して、主水がふたたび、ひざまずくと、声をひそめた。

「いつか、そちは、末森城のうちに、旧知の者があると申したな」

「はい、おります。千秋主殿助と申し、以前、越前に住み、後、前田家が府中にあった頃に、召し抱えられた者にござります」

「それは、幸いだ。ひとつその主殿助へ、その方からよびかけて、うまく、扱いをかけられんか。充分、利を喰らわせての」

と、成政は、一策を、かれに授けた。

籠城者のひとりに、千秋主殿助という男がいる。

利家から直々に、奥村助右衛門へ付けられた者で、末森城の一部将として、こんども東曲輪にたてこもっていた。