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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

「何者ぞ。心憎い振舞い」

と目がけられ、遠矢に左肩を射抜かれて、あえなく乱軍の波濤にかき消された。

するとここに、その半田半兵衛にも劣らぬほど、敵の中に深入りして、あばれ廻っている小男があった。

いや、たれも小男と見ていたが、よく見れば、それは十四、五の少年なのであった。身ごしらえや、槍の扱いや、進退の敏捷さは、一人前以上なので、一見小さき怪物としか思えなかったが、

「さあ、来い」

だの、

「――思いさらせ」

だの、

「こなくそ!」

などと叫んでいるところは、いかにも、子供っぽく、ちょうど、火炎不動の脇座から躍り出したこんがら童子そのままだった。

この童子は、佐々の部将、桜甚助が、弓を張っては、味方の者を、選み撃ちしているのをながめて、大胆にも、

「うぬっ」

と、口をむすび、そのそばへ、駈け向って行った。

小さいので、甚助をかこんでいた士卒も、うっかりしていた。

「わっ」

と、甚助が、かれの槍先にかけられて、馬上からころげ落ちたので、初めて、この小怪物が、前田方のひとりだったことを知り、わっと、追いつつんだ。

童子は、逃げ廻った。逃げるのも、栗鼠のごとく、す早いのだ。