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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
……して、佐々は一体、いま、どこにおるのか」
「近くの寺院に潜ませてございます。もし、命乞いの儀を、保証していただけるなら、連れ参りまするが」
「まあ待て。ともあれ、わしが筑前に会い、篤と、計ろうて遣わすであろう。それまで、沙汰を待つように」
信雄は、ただちに、秀吉の営へ、訪ねて行った。
秀吉は、信雄を見ると、何かにやにや笑っている。
利家も、いたし、ふと、云い出しかねていると、秀吉の方から、先に云った。
「信雄卿。もう、戦のやまは見えましたな」
「え。どうしてですか」
「たそがれ、神通川方面から戻った諜者のはなしによると、佐々の家中では、先頃、筑前が云い触れさせた――能登の七尾港より軍船百艘を仕立てて、越中のいたる土地に大兵を上陸させん――という流説をほんとに信じて、狼狽しておるらしいとのこと」
「ははあ、そのせいであろうかの」
「何か、ありましたか」
「実は……」
と、信雄は、利家の方を見て、口をつぐんだ。
利家は、察して、ほかの事にかこつけて、すぐ座を去った。
「――実は、佐々内蔵助が、剃髪して、自分の陣所まで、降伏を申し入れて来ました」
「ふウむ……」
と、秀吉はよろこびもしなかった。