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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

「以後、岡崎を持て」

と、数日の間に、入れ代えた。

同時に、甲州郡代鳥居彦右衛門をも、俄かに、呼びかえして、

「従来、わが家の兵制、兵器、軍形の一切を、この際、根こそぎ、改革せよ」

と、その奉行たることを命じた。

こういう時、家康が耳にする、近しい人々のことばは、およそ一致していた。

「忘恩の伯耆守も、大坂方へ属してみたら、後には、元の巣をおもい出して、ほぞを噛む日がございましょう」

「――要するに、伯耆守が、世上一流の人物と見られたのも、徳川家という背景があったからで、太閤に従属したとて、何ができるものですか」

等々々、みな悪しざまに、数正の非行を罵って、家康の鬱を、慰めようとするのだった。

――が、家康は、いった。

「伯耆の心は、憎くおもう。けれど、伯耆はやはり一流の人物たるに変りはない。武夫の行化は侮るべからず――じゃ。家康にとっては、大きな損失よ。この損を、何かで埋め合わせつけねばならぬ」

他から慰められて安んじ得る家康ではない。不幸な生れつきの家康は、まだ誰も考えつかない先の憂いにもう心をつかっていた。

急遽、甲州から鳥居彦右衛門をよんだのもそれだった。