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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
(今はもうそれしか恃む途はない。そちが、城外へ脱出し、やがて吉報をもたらすぞと、それを待つだけでも、城兵の希望にはなる。首尾よく、敵の警戒を突破してくれよ)
――ちょうどその夜は、小雨でもあったので、長兵衛は、蓑、笠にすがたを包み、城下端れのなまず橋を西へ、高台寺道をいそぎかけた。
細かい雨に、夜霧も交じって、自分の足もとしか見えないような闇を、ひたひたと大股にいそぐうち、かれは縄に足をとられて、あッと五、六歩、つンのめった。
両側の竹藪で、がらがらと、鳴子が揺れた。しまったと、後ろへ跳び、元の道へ、走ろうとすると、
「待てッ」
――もう遅い。濡れ光った甲虫のような人影が、厚ぼったく彼を取りかこんだ。ギラギラするのは槍であろう。ひとりの武者がその中から問いつめた。
「うさんな奴。どこの者だ。そして、どこへ行く」
長兵衛は、内心、観念してしまった。しかし、とぼけるだけは、とぼけてみようと、
「お見のがし下さい。てまえは、須成村の百姓、長右衛門というもの。津島まで、村の急用があって参ります」
「あ。そうか」
と意外に、あっさりだった。
「――通れっ」
という言葉に、ほっとして、長兵衛が歩みかけると、その武者は、部下の者へ、眼くばせして、とたんに、彼の背後から、