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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
うしろ髪ではなく――うしろにそういう、いじらしい者や、弱い者や、恋しい者がいることこそ、かれの強味であった。
八月二十六日。
幾たび目かの、木曾川をわたり、翌日、二宮山に出て、敵情を偵察し、転じて、二十八日には、小折附近の敵の散兵を掃討し、附近を、火攻めにして、ひっ返した。
家康もまた、その二十八日には、
(秀吉、来る)
の急報によって、信雄と一しょに、清洲から岩倉にかけつけ、またたくまに、布陣して、
(ござんなれ)
と、秀吉勢と、相対した。
この時も、家康は、徹頭徹尾、「守る」の態勢をとって、かりにも、自発的な行動や挑戦に出ることは、かたく味方へいましめた。
突けば、引き。止めれば出てくる。といって、大作戦をしかける余地のない鉄壁だ。その不壊の構えに、強いて、奇手をもてあそべば、かならず仕かけた方の仕かけ破れになるにきまっている。
「ものに、飽くのを知らぬ男よな」
家康の根気のよさには、秀吉もやや手を焼いたかたちであるが、秀吉は、それにたいして、無策ではなかった。
螺のふたは、金槌でも、開かないことを知っていた。さざえの貝の尻を焙れば、自然、中身は抜けるという卑俗な道理を、かれは先頃から考えていた。