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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

と予察されたのであった。

彼の直感は、過っていなかった。けれど幸いにも、それが自分に対するものかと惧れた心配は外れていた。

その日、信長が船中で書いていたのは、折奉書三枚にもわたる長文の折檻状であったのだ。――或る一臣下の怠慢に対して、日ごろの憤りを発し、峻烈な辞句をつらねて、その罪状を責めつけたものであった。

「いま大坂はお手に入り、積年の禍根はのぞかれ、こうして宇治の清流を、爽やかにそれへ向って御入城あろうという――かかる日に、どうしてそんなおむずかりを起されておいでやら?」

と、蘭丸はひとり呟いていた。けれど、こういう機微な心理になると、いくら信長の胸の中に住んでいるような蘭丸でも、

――わからぬお方。

と、つくづく思うしかなかった。

方八町四方という石山御堂の城構えは、三日三晩の火にかかっても、まだ一部の建物はのこっていた。

信長は、そこに入城すると、すぐ認めておいた折檻状を、中野又兵衛、楠木長安、宮内卿法印の三人にあずけ、

「佐久間信盛父子へ、これを渡せ」

と、使者の役をいいつけた。

信長が大坂へ入って、その占領地を検分の後、第一に発したものは、怠慢な臣下にたいするこの、