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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

「甲州と、中国と、その攻略はいずれが早かろうか」

「むろん甲州がお早く片づきましょう」

「筑前」

「はい」

「弱音をふいたの。信長に負けじと、そちが強がるかと思うたが」

「毛利と武田とでは、本来、その強味がちがいます。甲山峡水は嶮なりといえ、嶮の破るるときは、一挙にして潰えの早いものです。武田譜代の士馬精鋭、なお数万騎ありましょうと、すでに信玄という支柱を欠き、内に和なく、各※(二の字点、1-2-22)、誇って譲るなく、しかもその人、その地の利には、文化に遠く、武器も戦法も、はや時代遅れといってよいでしょう」

「中国におりながら、そちは却って、甲州方面の機微に詳しいようではないか」

「おのれを知り、敵を測るためには、どこの国とも睨みあわせておらねばならぬ必要からです。――武田に比せば中国の毛利というものは、なかなか跡形もなく亡ぼし去ることはできません」

「そんなに根づよいか」

「海運の利便、海外からの文化、殊には物資にもめぐまれ、人は鋭感でまた智的です。加うるに、その豊かを内にもちながら、故毛利元就が遺訓はまだ一族に生きていますから、ただ武力一途でそれを絶滅せんなどは思いもよりません。