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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

松や竹や餅など売っている日本の歳の市を、物珍しそうに見物して歩いていた。

信長はその夜も、彼が帰国の暇乞いに来るというので、心待ちに待ちわびていたらしい。

全城の燭は、秀吉を迎えた。

主従、夜食を共にした。また、堀久太郎から、拝領物の沙汰などあった。

「御品々は、明朝、御出立までに、御宿所へお届け仕ります」

とて、その内容だけを聞いた。国次の刀や、茶の湯の名器十二種などである。

「かさねがさねの重恩。ただ冥加のほどおそれます」

秀吉はありがたさの余り、涙にも暮れそうな姿だった。そして暇を告げかけると、

「いや待て、なおまだ、きのう申し交わした約束が残っておる」

といって、信長は、彼を促して城楼の上へ伴った。

ここの一閣へは、よほどな貴賓でもないと案内されることはないし、重臣でもほんの、二、三の者しか知っていないということだった。

「きのう茶席で約束したように、そち以上な大気者を見せてつかわそう。はいれ」

信長は一室を開かせた。

驚くべき人間が、そこの扉を開いたのである。更紗を纏い、黒い皮膚に、珠や金環を飾っている二人の黒奴だった。

しかしこの黒奴については、秀吉はそう瞠目もしなかった。