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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

わけて主君の前では、畏れるの余り吃り気味なので、これだけ伝えるには一所懸命であった。

それをもどかしく思ったのか、秀吉は聞いている途中から、身をまげて、傍らの文机や文庫から手まわりの物を取って、腰に帯びたり、懐紙をふところへ納めてみたり、まるで空耳に聞いているかのような容子に見えた。

そして、虎之助が、語り終るとすぐ、

「よしよし、使いの返事、よくわかった。もう今朝はここを立つ。はやはや外へ出て、そちたちも、供廻りのことなど急げ」

追い立てるように、退けてしまったのである。

二人は、倉皇として、そこから出て行った。――と、入れちがいに、堀尾茂助が、何事か告げるべく、またそこの障子を開けると、秀吉は独りで泣いていた。懐紙を面にあてて涙を拭っているのである。

「…………」

おや? という顔して、そのまま、茂助が障子の下にうずくまっていると、秀吉はひどくあわてて、

「吉晴。何用だ?」

と、まるで咎めるような声音でいった。

「はッ、はいッ……」

茂助も理由もなくあわてて、早口に、

「右府様のお使いとして、森長定どのがお越しですが」

と、取次いだ。

「なに。森蘭丸どのが」