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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

もちろん時間の問題とその無言は答えているのだが――秀吉としてはなお、何とかならないものかと、云いたいのだった。

昏々としていた病人は、そのとき微かに手をうごかした。秀吉の声が耳へとおったらしく、うっすら眸をあけて、何か、近侍に意志を告げようとしていた。

「殿が、お見舞いに成らせられました。……殿が、お枕べに」

「…………」

うなずいて、なお、何かもどかしがる。――自分の身を抱き起せと、命じるらしいのであった。

「いかがでしょう」

医師をかえりみて、近侍が諮ると、さあ、と医師も答えきれない顔した。

秀吉は半兵衛の意を覚って、

「なに、起きたいと。まあ、そうしておれ、そうしておれ」

と、子をあやすように宥めた。

半兵衛は、微かに、顔を振って、さらに、近侍を叱った。といっても、もとより大きな声も出ないが、とたんに、落ち窪んでいる眼にそれが見えたので、はっと一も二もなく、近侍は彼の命のまま、二人ほどして、板のような病人の半身をそっと抱え起した。

夜具で身のまわりを支えようとすると、半兵衛は、無用と、退けて、唇をかみしめながら、寝床のうえから徐々に身をずり降ろした。