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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
していないどころか、
(よくぞ、かかる御主君に)
と、結ばれた天縁に対して、大きなよろこびと、そして臨終の間際までも、確乎とした生きがいを感じているのであった。
(この殿が、かねて自分の信じているような役割をもち、また将来の大を成しとげてくれるなら、重治そのものの形骸は、ここにおいて事の中道に死すとも、決して、空しき生命を終ったものとはならない。――この君の精神をとおし、この殿の将来をとおし、自分の理想は、何らかの象で世に行われよう。自分はこの喬木を大ならしめる根もとの肥料であっていい。ただこの喬木が、亭々、次代にそびえ、爛漫、この世を君が代の春とのどかにする日があれば――わが願いは足れりといえる。ひとは夭死というかも知れないが、以て半兵衛重治は充分に瞑すことができるというものである)
「……以上、申しあげたことのほか、もう……もういうべきことばは、何もございませぬ。どうぞ……殿。御自身をお大切にして下さい。またとなき御自身であることを信じて、重治亡きのちも、一層、御勉強あそばして……」
――と、いったとき、半兵衛の胸は、朽木の折れるように、前へ曲った。