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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

――光秀は断じて、都をうしろに、この山崎で一戦を決しよう。なんの秀吉、何する者ぞ)

かくて、この戦いに面した光秀の心事は、すでにこれへ臨む前から、おのずから悲調を奏でていたものと観てよい。

――秀吉、何する者ぞ。

との気概は示しても、心の底には、必勝を期すまでの確信はなかった。

その悲壮な決意は、主なる将にはみなよく酌み取られていた。その点、彼にもまた、彼のためにはいつでも死のうとする腹心は多い。

とりわけ斎藤利三のごときは、年も老齢ではあるし、忠諫すでに容るるところとならず、大勢の見透しにも老将だけに、

「きょうこそ、一期と覚えたり」

とは、誰より先に、ひとり決めていた覚悟であったろう。

――で、円明寺川口の銃声も、その斎藤隊から突如として揚ったものだった。

戦いの切っかけというものは微妙である。両軍とも小半日は葭蘆のあいだに、ブヨや蚊に喰われながらも、じっと対峙したまま、上将の号令を神妙に待っていたが、そのうちに、羽柴方の陣から美しい鞍を置いた一頭の放れ駒が、水を呑もうとしてか、ふいに円明寺川の岸へ跳ね出して来たのである。

馬の持主は郎党であろう。