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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
「さすがは、明智一族のうちでも、彼ありといわれていた男」
「見事哉、左馬介」
と、どよめきどよめき、私語を発して、それを賞め称えている者すらあった。
殊に、堀秀政や、その他、互いに名を惜しむ武門の将は、美しきものに見恍れるときのような眼で、湖の沖を凝視していた。
弾も矢もとどかない距離にまで――すでに左馬介は泳ぎ出していた。
「よも坂本までは、あの馬を泳がせきれまい」
「――どの辺で、溺れ出すか」
兵の多くは、なおまだ期しているものの如く、無駄矢も無駄弾も放たなかった。
――と。波打際を数町離れた左馬介光春は、やがて弛い半円の波紋を描いて、水面わずかに見える馬の頭を――西の方、坂本のほうへぐるりと向け直していた。
「改正三河後風土記」や、その他の諸書が記すところによると、その日の光春が装いは、白練絹の陣羽織に、時の名ある画匠が、水墨をもって雲龍を描いたものを着ていたという。
また兜は、二ノ谷と銘のある明珍造りの輝かしき物であり、馬も大鹿毛の雄で、よほど優駿であったろうことは、朝からの戦闘に耐えて、なおよく湖上遠くに出て、さかんに水を掻いている悍気を見てもわかることだった。