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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

この湖上はいうもさらなり、この辺の地はみな自身の領土である。しかも坂本のすぐ城下である。光春が、田畑の畦道から葭蘆の茂りまで、どこはどうと、知りぬいていることは、当然であった。

水馬の技でもそうである。

彼が、湖に馬を泳がせたことは、彼としては、きょう初めてのことではない。

常に、居城の坂本の馬場から、この大津附近まで、水馬で渡ったことは何十遍も経験があるのである。従ってこの辺の湖底は、深いか浅いか、ほとんどそらんじている彼でもあった。

――馬の足の外れる深さにかかれば、身を馬の三頭に下げて、かるく手綱をくれながら馬を泳がせ、また、浅瀬にかかれば、しぶきを咬ませて駈けわたるのである。このようなことはあながち彼の創意でもなく、敵前渡河のときは、かく操るものと訓えている前人の貴い経験に基づくものであった。

ただし、これが非常な至難かのように考えられて、後世、説をなすものが絶えない。

いわく。

(左馬介の湖水乗切りというのは、派手がましく伝えた虚説で、ほんとは湖水の岸を駈け廻って坂本へ入ったにすぎない)

また、別説には、

(彼は、湖水と町屋とのあいだを駈けて通った)