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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

「明智党の仕業であろ」

「まだ残党がいるのだ」

洛中の者は、詮議の苛烈を予想して恟々としていたが、このことについては、存外、その後さしたる余波もなかった。

ところが、それに安心し出した頃になると、だれいうとなく、

「首を盗んだのは、画家の海北友松らしい」

という噂がたった。

友松は当時洛北の一寺院に住んでいたが、そこを訪うた者の言によると、彼は依然たる貧乏と画三昧のうちに慎んでおり、それについて訊ねてみても、自分がしたともいわなければ、自分ではないともいわない。ただ笑っているのみであった。――ということであった。

前々から光秀とは心交を契っていた彼ではあり、内蔵助利三とは取りわけ親密だった友松なので、

(てっきり、彼が)

という当然な臆測が生んだ風説にはちがいないのである。けれどまた、当人がどこかそれを肯定している容子であるから、察しると、案外、世間の考えが中っているかも知れない――という者もあった。

しかし京都守護の軍から友松へたいしてべつに召喚もなく過ぎた。為に、洛の内外は、日ならずして、前にもまさる平穏に返っていた。

――これはずっと後の余談になるが、斎藤利三の末娘は、お福といって、やがて稲葉正成に嫁した女性である。