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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
そう解して、主人の一面を、ひどく磊落な、またその人物の大きな所以であるとして、称めちぎる家臣もあるが、毛受勝助などは、それを阿諛の言として、強いても反対な苦言を呈している方だった。
越中の境に長陣の折、そのときも何か勝助として感じていたことがあったのであろうが、勝家から徒然に読む書があったら差し出せといわれたのを機に、三略の一部の紙中を折って、すぐ目につくようにして出した。
後で勝家が繰展げて見るとそこの一章にこういう文があった。
軍井未ダ達セズ、将渇ヲ曰ハズ。軍幕未ダ弁ゼズ、将倦ムヲ曰ハズ、軍竈未ダ炊ガズ、将飢ヱヲ曰ハズ、冬、裘ヲ暖ニセズ、夏、扇ヲ採ラズ、雨ニ蓋ヲ張ラズ。是ヲ、将ノ礼トイフ。
この時も勝家は、二、三日不機嫌な色をなしていた。しかし部下統率上のこれくらいな常識は充分わかりぬいている大将なので、為に、勝助を退けるなどという暗愚なまねは決してしない。ただ自分の持っている胆汁質な慾望と粗野な本質にたいし、彼自身としては、せっかく北陸探題の総大将たる威厳とにらみあわせて、極めて不調和なく、その矜持を保っているつもりなのへ、他の意志をもって水を割られると、甚だその節度が持ち難くなるらしかった。