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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

さっきから非常な真面目さであるのみだった。勝家の口数にたいしても畏るるかのように寡黙であった。――が、勝家の執拗な言に、今はぜひなくというような容子で、

「いや宿老のおことばは、ごもっともです。三法師君の御出座を仰いだには、理由がないではありませぬが、なるほど、まだお無邪気なお年、長評議に、ああしておられては、御窮屈にちがいない。かたがた、今日の触頭たる宿老の御意とあれば、ひとまず、御退座をねがうことにいたしましょう」

と、穏当な語を返して、少し膝を上座に向け直し、傅人の長谷川丹波守へ、

「そのようになされるように」

と、立座を促した。

丹波守は頷いて、膝の三法師を、うしろの乳人の手へ渡した。三法師は、盛装した大勢の人々が居ならんでいる様が、何か無性に楽しいらしく、乳人の手をつよく拒んだ。それを無理に抱いて、立とうとすると、こんどは突然、手足を振って泣き出した。そして手にしていた折鶴を列座の諸侯のまん中へ抛ってしまった。

諸侯はふと、眼に涙をもった。

薫香散

土圭の間の点鐘は、午を報じていた。

それも耳に入らないように、大評議の広間は、ひそとした緊張にみなぎっていた。