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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
いずれが是やら、いずれが非やら、篤と、見ていただきとう存ずる)
云い終ると、信輝は武者ぶり作って、りゅうりゅうと槍をふるい出した。あだかも四面鉄桶の乱軍を駆けくずし、その悉くを槍にかけて、宙に大地に、突き投げ突き伏せて熄まざるかのような大演技を演じて見せたのである。
信長を始め安土の同僚は、手をたたいて興じ入ったが、甲州の使者は、演舞の槍先がしばしば胸元近くまで閃めいて来たので、酔もさめたような顔していた。
そして、その後のてれかくしに、傍らの者へ、
(今のは、誰ですか)
と訊ねたところ、
(あれこそ、御当家の池田勝三郎信輝です)
と聞かされて、ふたたびふるえ上がったということである。
以来、信輝の槍踊りは、著名になって、折あるごとに見られたが、本当はそんな烈しい荒芸ではなく、虫の居どころによりなかなか優雅な舞い振りのものであったという。
――が、さて。
その池田勝入も、今夜の席に、居ることは居るが、こよいは亡君のお斎の賜膳である。酔うには酔うても、まさか槍踊りというわけにもゆくまい。
他の諸将も、同様な行儀であった。
しかし多少、酒気のあがるにつれて、あなたこなた、座をくずして、寄々に談笑の声はわき出している。