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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
「かしこまりました」
「何している。蚊にくわれるぞ。……用はそれだけだ。はやく行け」
光泰は去った。
これはごきげんがよくないらしい。――佐吉はそう思いながら、小桶にすくった湯をおそるおそる秀吉の背にながした。
が、秀吉は、湯桶の中で、あくびを一つしていた。そしてその中で四肢の筋肉でもいっぱいに伸ばしているのか、ううむ――と鼻でうめいて、
「……すこし解けた」
と、二日の凝りを喞っていた。
「蚊帳は吊ったか」
浴衣を捧げた小姓たちが、
「吊っておきました」
「よしよし。お汝たちも、早寝せよ。――詰の者にもそう申せ」
秀吉は蚊帳の中から云った。
戸は閉てられてあるが、窓は風を呼ぶためにあいていた。宵月のほの明りが揺れてくる。――と、眠りかけたかと思われる頃、
「殿……」
「なんじゃ。茂助か」
「はい」
と、堀尾茂助の声が外からいう。
「有馬法印が見えられて、そっとお目にかかりたいと申しておりますが」
「なに、有馬法印が」
「はやお寝みと申しましたが、それでもと、強って申されますので……」
しばし、返辞がない。
秀吉は蚊帳のうちで、しばらく考えているふうだったが、やがて、