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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

そしてこの相違の原因が、何によるかを考えてみると、二者の観念に、根本的なひらきがあり、つまり“眼のつけどころ”が全くちがっているのであった。

日本の一般人士には当然、この創意、構想にも、日本という限界があった。あらゆる物の比較も、限界の外を出ない。

ところが、秀吉の場合は、その対象を、日本に限っていず、海外をも考慮にいれていたのである。少なくも彼は全亜細亜を鳥瞰していた。堺の港湾は一潮遠く欧羅巴の十七世紀文化につづき、五畿の経営は、西欧の使臣や宣教師らの本国へ寄する報告によって、日本の国威にかかわるところ大なりと信じていた。

従って、彼以外の者が、悉くその大げさにあきれたという程な企画も、彼にとっては、なおまだ腹中の全を尽したものでなかったに違いない。

それと。

彼のこうした理想の具現は、きょうや昨日の思いつきでないこともいうまでもない。

もとよりそういう大気宇は、彼の本質にあったものに違いないが、時、ようやく、勃興的気運に向いつつあった日本の文化的使命と、海外からの西漸の風潮などについて、時代の活眼を与えてくれた恩人は、実に、彼にとっては主君であり師でもあった、故信長なのであった。