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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁
――今から?」
「分んないけど、こんどは、侍奉公して、きっとおっ母にも、姉さんにも、安心させるよ」
「侍奉公に」
「おっ母は、侍にはなるものじゃないといったけれど、おらはやっぱり侍になりたい。藪山の叔父さんもいった。――今だぞといった。――おらは侍になる」
「それにしても、まあ上がって、あしたの朝、よう義父さまにも、ご相談してみやい」
「会いとうない」
日吉は、かぶりを振って、
「――おっ母、おらってえ子を、十年ばかし、ないもんだと思ってな。体を丈夫にしといてよ。いいかな。……姉ちゃん、おまえもお嫁にも行かないで、悪いけど、辛抱してなあ。……その代りおらが偉くなったら、おっ母には絹を着せ、姉ちゃんには、繻珍の帯を嫁入りに買うてやるでな」
「…………」
「…………」
母も、おつみも、嗚咽しているだけだった。――日吉がこんなことをいうようになった! ――そう思うだけで、胸は涙の湖になって、身も溺れる心地だった。
「ここになあ、おッ母、茶わん屋から貰うて来た塩が二升あるで、置いて行くぜ。おらが二年働いて稼いだ塩だ。姉ちゃん、後で台所へやっといておくれ」
「……あ、ありがと」