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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
第一号が出たのは明治十八年五月二日だと考証されている。
その石橋思案氏が、後に脳をわずらわれたが、稲舟女史の話を私にしてくだされたのだった。
錦子は自分のしたことがおかしくなって、クックッ忍び笑いを洩らしながら、
ひとり さける のばら あわれ
あかぬ いろを たれか すてん
のばら のばら あかき のばら――
と唄いかけた。この詩も、美妙の「野薔薇」というのの一節だったが、妹は、後に立った母親に言った。
「姉さんて、妙な人ねえ。お琴を弾いても、唄わないくせに、ねえ。」
けれど、その妹が、敵は幾万ありとても、すべて烏合の勢なるぞ――という軍歌が、おなじ人が、早く作ったものだということは知らないでいた。
「錦子は、お父さんのお許しが出そうなので跳んでいるのだよ。」
と、母は、錦子の室の中を見廻して言った。
「姉さんがいなくなると、さびしいねえ。」
錦子は、母親が現われたのでさっきからの、躍るような――火花が指のさきから散るような気持を、凝と堪えて、握りしめた手を胸におしつけていたが、思わず
「あら! 東京へ行ける。」
と、感情の、顔に出るのを、さとられまいとしながら、せかせか言った。