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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
美しい娘で、外に立っていたらば、突然、痛いと思うと、頬ぺたから血がにじみだしたというようなことは、眼につきやすい女に多かった。
錦子が、朝目ざめて見ると、唐人髷がころりと転がりおちた。
ハッと唇の色を変えて、錦子は顫えあがったが、いたずらものが忍び込んだ形跡もないので家の者たちは神業だと、禍のせいにした。他分、表で斬られたのを、枕につくまで落ちずについていたのであったろう。だが錦子は、いやあな予感がしたのだった。
七面鳥の錦嬢という名を、近所の書生たちからつけられたのは、唐人髷を切られてからだった。
短かい髪を二ツに割けて、三ツ編のお下げにし、華やかな洋装となった錦子の学校通いは、神田、本郷の書生さんたちの血を沸騰させた。美妙斎の食指のムズムズしないわけはない。
――今日錦嬢と――
という文字は、美妙斎の日記二十四年の末からはじまっている。二十五年にいたっては、ますます頻繁だ。
ある時は、上野摺鉢山――あの、昼も小暗く大樹の鬱蒼としていた、首くくりのよくある場所――上野公園のなかでも、とくに摺鉢山。ある時は九段――これも、日中あまり人通りがなかった場所だ。