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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

いたずらに増えた髪の霜でもなく、欠伸をしてつくった小皺でもない。

――その間に、こんなにも、こんなにも、女人の出る道は進展した――

前の夜、あまり生々したグループのなかで、何時までもいつまでも話しこんでいたあたしは、あんまり異った仲間のなかにいて、たしかに戸まどいもしているのだった。年月などというものを、さほどに意識しない日頃であって、何時も若い友達と一緒になっていられる幸福のために、かえって、死もの狂いであった誰彼なしの過去に、ひたと、面をこすりつけられたような思いだった。

表面に、溌剌と見えるからといって、青春者が、やはり世の中へたつのは、多少とも死もの狂いであるのと同様、先覚者も決して休止状態でいるのではない。おなじ時代を歩んでいるのではあるが、まあ、なんと、今日から見れば、そんな些事を――といわれるほどの、何もかもの試練にさらされて来た人たちだろう――

私は、神近市子さんの横顔を眺め、舞踊家林きん子になった、日向さんに、この人だけは面影のかわらない美しい丸髷を見た。

「清も、よろこんでおりましょう。」

と、もとの座についた、白髪の老人は、重い口調で挨拶をしていられる。