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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁
三
権太郎以外のいたずら者がこの町内へ入り込んで来るに相違ないというので、又もや町内総出で毎晩の警戒を厳重にすることになった。
三
その以来、半鐘はちっとも鳴らなくなった。半鐘はなんにも知らないような顔をして、冬の空に高くかかっていた。
お北の家へはその後に人が越して来た。しかし一と晩で早々に立ち退いてしまった。夜なかに不意に行燈が消えて、そのおかみさんが何者にか頭髷をつかんで、蒲団の外へぐいぐい引き摺り出されたというのであった。しかも別に紛失物はなかった。何かこの空家に潜んでいるのではないかと、家主立ち合いで家探しをしたが、その正体は遂に見とどけられなかった。
「やっぱり化け物かしら」
こんな噂がまた起った。町内の人たちも、化け物か人間か得体の解らないこの禍いを払う方法にはあぐね果てた。空で半鐘が鳴らない代りに、地の上ではやはり不思議の出来事が止まなかった。
その次に人身御供にあがったのは、番太郎の女房のお倉であった。
「番太郎……お若い方は御存じありますまいね」と、半七老人は説明してくれた。「むかしの番太郎というのは、まあ早く云えば町内の雑用を足す人間で、毎日の役目は拍子木を打って時を知らせてあるくんです。