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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁
男は築地の山石の船頭清次であった。
「親分さん。お早うございます」
「やあ、清公。どこへ行く」
「おまえさんの家へ……。丁度いいところで逢いました」と、清次はすり寄って来てささやいた。「実はね、このごろは毎日天気が悪いので、商売の方もあんまり忙がしくないもんですから、きのうの午すぎに小梅の友達のところへ遊びに出かけました。すると、その途中でひとりの女に逢ったんですよ。その女は近所の湯からでも帰って来たとみえて、七つ道具を持って蛇の目の傘をさしてくる。どうも見おぼえのあるような女だと思って、すれちがいながら傘のなかを覗いてみると、それがね、親分さん。それ、いつかの潮干の時の女なんですよ」
半七は無言でうなずくと、清次は左右を見かえりながら話しつづけた。
「こいつ、見逃がしちゃあいけねえと思ったから、わっしはそっとその女のあとをつけて行くと、それから小半町ばかり行ったところに瓦屋がある。そのとなりの生垣のある家へはいったのを確かに見とどけたから、それとなく近所で訊いてみると、その女はおとわといって深川辺の旦那を持っているんだそうです。なるほど、庭の手入れなんぞもよく行きとどいていて、ちょいと小綺麗に暮らしているようでした」