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とうきょうじんのだらくじだい
東京人の堕落時代
杉山 萠円
線上閱讀杉山 萠円《東京人の堕落時代(とうきょうじんのだらくじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 頁
自惚れから堕落へ
この世は無意味である。只、享楽だけがある。人生は零である。只、刹那の感興だけしかない。これに対して人間は絶対に自由でなければならぬ……といったような思想を、極めて低級な意味に考えて実行する。
実は、うぬぼれていい――堕落して構わない――と考えて堕落した事になる。
今の東京はうぬぼれの大競争場である。あらゆるおめかしの大品評会場である。大抵の風姿をしても驚かぬ程、その競争は激烈である。
活動役者の表情の技巧や、近代芸術の線や色彩は、そんなに別嬪でなくとも挑発的に見える化粧法や表情法を、到る処に鼓吹している。
そんな研究に浮身を窶しているうちに、彼女たちは自分の持っている性の強さ、魅力を知るようになる。又は、女の弱身をそのまま男性に対する強みにする方法を飲み込むようになる。
これが堕落の初め終りである。
芝居や実世間のバムパイヤになれる唯一の大道である。
女学生なら、先生に泣き付いて出欠を胡麻化す。色仕掛で落第を喰い止める。職業婦人だと、会計を軟化させて前借をして逃げる。重役の令息の新夫人に脅迫状を送る……なぞいうのがいくらも暗から暗へ葬られている。