輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁

青空文庫

「そら、もう癇癪が起こった」と七十郎は笑った、「べつになんの用もない、筋をほぐしに妓楼へゆくんだ」

「なにをばかな」

「ばかなことはないさ、義兄(新左衛門)が死んで以来、休みなしに三人分もはたらいて来た、七十五日の法要が済んで、久方ぶりにいとまが出たから、保養にでかけるんだ」

「ばかなことを云う」と十左は拳で額の汗を押しぬぐった、「そんな暢気なことを云っている場合ではないぞ、いいから館へ戻ってくれ」

「御免を蒙る」

「大事な相談があるんだ」

「相談なら妓楼でもできるさ」

「七十郎、――」

「戻るのは御免だ、石巻ならいっしょにゆくよ、そうするがいい、里見老」

「その老をやめろ」と十左が云った、「その老を聞くとむかむかする、おれはまだ老と呼ばれる年ではないぞ」

「たしかに、肝の臓だな」と七十郎が云った、「肝の臓にやまいがあると怒りやすくなるそうだ、いやでたらめじゃない、なんとかいう医書にちゃんと書いてある、なんという医書だったか、日本のじゃない、唐か清のものだったと思うが」

「肝の臓はわかった」と十左が云った、「それよりおれの話しを聞け」

「石巻へいってからだ」

「よし、それではまず一言だけ云おう」