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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁
隻手砕甲
「おまえは風呂へはいれ」
「待って下さい、兄さん」
「風呂へゆけ、口を出すな」と六郎兵衛は叫んだ。
隻手砕甲
おみやと新八が、新八の部屋で話していたとき、――こちらの島田市蔵の部屋では、市蔵と砂山忠之進、そして稽古からあがった野中又五郎と、尾田内記とが、集まって話していた。尾田内記は出稽古にいった日で、まだ着替えもしないまま、緊張した顔で坐っていた。他の三人は稽古のあとで、ざっと汗を洗い、帷子に帯の着ながしであった。
「今日、藤沢に会った」と内記は云った、「松平雲州家の稽古を済ませて、出たところで会ったのだ」
「それは珍らしい」と砂山が云った、「江戸にいたのだな」
「石川はどうした」と島田が訊いた。
内記は扇子を使いながら、藤沢といっしょに、いま道場をやっている、と答えた。石川兵庫介が六郎兵衛に腕を折られたとき、藤沢内蔵助は石川と共にこの道場を出ていった。そのまえ、藤沢は柿崎六郎兵衛のやりかたを怒って、みんないっしょに出よう、と主張していた。
藤沢は伊達兵部の用人と会ったことがある。新妻隼人という者で、ひそかに呼びだされて、浅草はたご町の西福寺で会った。新妻はみんなを呼んだのだが、藤沢がまず会いにゆき、その後も二度会った。