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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁

青空文庫

――首尾はどうであった。

「即答をゆるす、仔細を申せ」

――里見十左衛門は居宅におりました。

「十左が、仙台にか」

――はあ、十余日まえより風邪ぎみにて、居宅に籠っていたと申します。

「実否を慥かめたか」

――相違ございません。

「痴れ者め、あの痴れ者め、さてはなに者か使ったな、おのれは仙台にいて、この一ノ関へはなに者かをよこしたのだ」

――御家老に申上げます、相原助左衛門どのよりこれを。

――よし、さがっておれ。

「助左からなんだ」

――書状にございます。

「なんとある」

――ただいま、……船岡どのが涌谷へ立ったとございます。

「原田が涌谷へ」

――寺池(式部宗倫)さまの御懇望にて、地境論の実地を検分するため、二月十日、と申しますから、三日まえに仙台を出立したということです。

「寺池へ使者をやれ、検分のもようを知らせるように、それから、原田にも書面で、検分が済んだら一ノ関へたち寄るようにと、申してやれ」

――かしこまりました。

「書状はそれだけか」

――小野の館から奥山出雲(伊東采女の家老)がまいったそうです。

「誓紙はどうした」

――ずっと捜しているが、いまだに発見できぬ、いま暫くの御猶予をと、願ってまいったとございます。