輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁

青空文庫

「東市正になにがあると」

「ただ、ごゆだんなきように、と申上げるほかはございません」

そして甲斐は、いとまを乞うように座をすべった。兵部は、待て、と呼びかけた。

「待て原田、待て」と兵部は疑わしそうに甲斐の眼をにらんだ、「毒死の事実が、どうして東市正にとって危険なのだ、これと東市正とどういうかかわりあいがある」

「申上げなければなりますまい」と甲斐が云った。

甲斐は暗い表情になり、膝の上の扇子を、やや暫く見まもっていて、それから静かに兵部を見た。

「いつぞや、私が刺客に襲われたことを、御存じでございますか」

「うん」と兵部はあいまいな口ぶりで、「聞いたことがあるようだな」と云った。

「聞いたように思う、たしか、品川の屋敷であったとか」

「お下屋敷へ伺候したときのことです、幸い供の者と、良源院どのの機転で、危ういところをれましたが、その人間がなぜ私を刺そうとしたか、おわかりでしょうか」

「わからぬ、おれにはわからぬが」と兵部は眩しそうな眼をした、「くに者はすぐにのぼせるから、なにか独り合点に思いつめて逆上したのであろう」

「御推察どおりと存じます、国許では、江戸にもむろんございますが、国許では特に、早くから或る風説が根づよく弘まっていて、若者どもの中には、命がけで事を起こそうとしている者がございます」