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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
線上閱讀大鹿 卓《渡良瀬川(わたらせがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 280,528 字 · 557 頁
蕭条たる堤上に佇んで谷干城がはじめて洩らした嘆声も、その意味の言葉だったと思い出された。
谷はさらに「この問題の解決の前には、いやしくも国を憂え一片耿々の志あり、同胞を思うて、一滴の涙のあるものは袖手傍観すべきでない。私も被害民諸君の前で、救済のために一死を覚悟していることを契ってきたのである」といった。津田はまたそれを聴きつつ、衆人の前で涙を流した彼の日の谷を思い浮べた。
谷は壇上に脚をそろえて姿勢をただし遽かに語気を改めて、
「ここで申し述べることは畏れ多い次第でありますが、私は一つの報告を申し述べておきたい……」
言葉を切って目差しを伏せつつ、
「聖上におかせられては、近く侍従を被害地視察に遺わさるる御模様であります」
粛然としずまり返った会場にその声がゆき渡ったとき、津田の傍にただならぬ物音がきこえた。見ると正造が椅子をすべり下りて、通路の床に後向きにペタリと突っ伏していた。気分でも悪くなったのかと怪しんで覗きこむと、正造の両眼から大粒の雫がしたたり落ちていた。正造はまさしく、宮城の方角へむいて虔しく平伏しているのである。その様子には作意の影など微塵もなかった。