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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
線上閱讀大鹿 卓《渡良瀬川(わたらせがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 280,528 字 · 557 頁
第三篇
第一章
しかし、これもまたあわただしい政争の裡に葬られて、この年も暮れた。
第三篇
老いの身の腕を扼せば骨高く
声も枯野のすごきありさま (明治三十四年) 正造
第一章
明治三十一年正造は五十八歳になった。この年、正造は一月以来ひきつづき被害地に出没していたが、三月二十五日に久しぶりに上京して信濃屋に投じた。精根が尽き果ててしまったようで頭脳の働きが衰え、瑣事も思慮に堪えぬありさまであった。そこで思いついたのが、去年も療養のために入浴にきた芝浦の塩の湯のことである。
物質的にも精神的にも、正造は決してのうのうと静養する余裕があったのではない。むしろ貧苦という文字をあてはめるのがもっとも適切と思われる状態だった。体は肥満していたし、三角の瞼から迸る眼光は鋭いし、一見だれの目にも病人とは見えぬほどであったが、艶のない皮膚のいろや隈を帯びてたるんだ下瞼をみれば、その内部がなにものかに蝕まれつつあるということもうなずかれた。しかし、記憶力が減退し思慮が鈍くなったという自覚症状から、正造自身は脳病と思いこんでいたし、他人にもまたそう語っていたが、脳病の方は杞憂するほどのこともなく、それらの症状は実に心身の過労からきていた。